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by cocogoloso

オステリア・デル・ブリッコ(フィレンツェ)

Hosteria del Bricco (Fi)

トスカーナの沿岸から一路フィレンツェへ。あっちこっちとイタリア中のディープな郷土料理&伝統的食品生産者探訪をライフワークとしているわけだが、狭いイタリアといえど毎度毎度違う場所へ出向いていれば、各地の友達にその都度会うのはかなり困難。普通ならせっかくイタリアまで来たのだから、見知った土地や思い入れの場所、知人友人に会いに行くのが人情というものだ。しかしボクの場合やらねばならない郷土料理探訪がある。これだけは今までのイタリア滞在に於いて、何はさておき最優先してきた趣味の仕事。これのお陰で各地に友達ができたわけでもあるしね。でも今回は懐かしのフィレンツェを通りかかるので当然立ち寄って友人に会うことに。

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エンリカ・ドゥランテはフィレンツェにあるイタリア語学校の教師でボクは元生徒。イタリア語苦手な日本人の、特に女子生徒からは絶大な人気がある。それは明確な意思表示を苦手とする日本人が、意思表示が絶対条件であるヨーロッパ社会で独り戸惑う中、優しい笑顔のエンリカが救世主のように現れ、根気強く愛情を持って接し教えてくれたからだろうと思う。ボクもエンリカには本当に感謝しており、今では数少ない親友でもある。そもそも彼女との意気投合は“食いしん坊”にあった。彼女は大学教授の令嬢でご覧のとおり美人、若い頃の写真なんか見ると超可愛いかったつーのに、男にあいそを尽かしてこの歳に至るまで独身一筋、結婚する気はないらしい。父親からフィレンツェ市街の一等地にある、メディチ家が所有していた歴史的パラッツォの最上階、ドゥオーモのクーポラが眼前に聳え立つ素っ晴らしい展望室付きの部屋に一人住まい。グルメな父親の影響で相当な美味いもの好き。育ちがいいので立ち振る舞いもエレガント。リストランテが似合うカッコいいフィレンツェ女だが本人は至って庶民派。よく一緒にトラットリーアを巡った。

フィレンツェに来てエンリカに会わないなんて考えられない。というか彼女に会うためフィレンツェに立ち寄ったようなもんだ。当然どこか気の利いたトラットリーアで晩ご飯。馴染みの店もいいけど、こういう時彼女は店選びを任せてくるので、この日は新規開拓でアルノ川南岸のサン・ニッコロ地区にある、オステリア・デル・ブリッコへ行ってみることにした。
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この地区には観光客が少なく、昔ながらのフィレンツェの雰囲気を残しており、この店も家庭的で素朴なフィレンツェらしさを感じる。
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これがメニュー。簡単な前菜がちょっとだけ、典型的な大衆食堂らしさ。そしてこのプリーモとセコンドの数多さ。トスカーナではほとんどの場合、前菜を省いてパスタ又はスープを食べた後、肉料理に進むことが多い。単価は前菜が1200円、プリーモ1000円、セコンド1600円程度。一昔前のイタリアならこの70%オフ位だろうか?現在では円に対して2倍から3倍に値上がってしまった。だって10年前は15万リラ(3千円チョイ位)握りしめてリストランテで食事できたけど、今は東京と変わんないか、むしろ高いくらいだもの。

↓“フィレンツェ風クレスペッレ”。クレスペッレは甘くない料理用クレープ。何故か知らないが、ホウレン草を使うと昔から“フィレンツェ風”となる。それをリコッタで和えてクレスペッレで包み、ベシャメッラをかけてグラティナートしたもの。フランスでは塩味のクレープは前菜だが、イタリアではプリーモ(パスタ類)として供される。
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↓鴨のタリアテッレ
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↓医者に脂ものとアルコールを控えるように言われたというエンリカは、白身肉の子牛ロースト。膵炎か?
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↓牛肉のコショウ風味赤ワイン煮込み“ペポーゾ”。メニューにはフォルナチーナ(溶鉱炉風)とあるが、ペポーゾの郷土インプルネータは、テラコッタの焼き物で有名な地域だ。小学生の頃学校で焼き物をよく作ったが、作品を焼くとき窯から溢れ出る炎に鍋をのせ、シチューなどを作った覚えがある。そんなイメージ。
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↓内臓と香草を詰めてロール焼きにした、“子豚のポルケッタ”。香草を詰めてローストしたものを総じてポルケッタと呼ぶが、本来はその名(ポルケッタ=子豚)の通り子豚で作るもの。でもメニューにはマイアリーノ(小さい豚=子豚)・イン・ポルケッタ(香草ロール焼き子豚)とあり、ポルケッタが“子豚”という意味の他に調理名としても転用しているのがわかる。だから“ウサギのポルケッタ”や、“メカジキのポルケッタ”なんて表現の料理名もある。
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何れも肉は焼き過ぎでパサついており、生食好きな日本人の好みからは程遠いが、実はこんな焼き方がイタリアの標準的な食堂料理の仕上がりなのだ。しかし生焼けに比べはるかに消化に優しいので、頻繁に肉を食べる民族の習慣になるのは自然なのかもしれない。それにボクなどでも慣れてくると案外懐かしい味わいに感じて(それなりに美味しいと思えて)くるから不思議だ。でも特別に美味いかといえばそうでもないのだが、生焼けより量は食える(大したメリットではない。笑)!
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by cocogoloso | 2008-01-14 15:07 | イタリア郷土料理探訪記