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by cocogoloso

コロンナータのラルド工房

Larderia Il Poggio (Colonnata)

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さて今日はいよいよコロンナータだ。カゾラ・イン・ルニジャーナから、またしても延々と続く栗林をズンズンクネクネ突き進み、ヘアピンカーブ&アップダウンを繰り返し徐々に海辺へと下ってゆく。まずは折角なのでトスカーナ州最北の港町、カッラーラに立ち寄る。
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(近くの山も石灰剥き出しの山肌)
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(↑この川の上流にコロンナータがある。川原には大理石がゴロゴロ)
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(↑ここにも栗粉製品のパン屋があった。でもカスタニャッチって書いてあるからお菓子かな?店主の名前が“オネスティ・アンジェロ 正直な天使”とは頼もしい)
この町から少し山間部へと行くと、そこはイタリアで最も良質なマルモ(大理石)が採掘される目的地コロンナータ。古代からこの地のマルモが良しとされた理由は、普通のマルモに見られる不純物が形成する模様がなく、炭酸カルシウムだけで構成されているため真っ白だからだそうだ。そう言えば建材の大理石には模様が有るのに、芸術作品は真っ白だ。

公営有料駐車場に車を停めてカッラーラの街をぐるっと散歩したあと、駐車場のオヤジにコロンナータへの道を訊いた。コロンナータはアルピ・アプアーニ国立公園内にあり、アルピ(アルプス)と言うだけあって、沿岸から直線距離にしてわずか15kmほどで標高2000m級の尾根が続いている。それらのちょっと手前に位置するのがコロンナータ。
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(細く見えるけどジグザグ道は大型ダンプカーの運搬路。この位置からだと米粒のように小さく見える)
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巨大な山全体が真っ白な大理石で出来ており、遠くから見ると雪山のようにも見える。中世の頃にはあのミケランジェロも滞在し、彼の目には巨大なマルモの塊の中に宿るモデルたちの姿が見え、曰く「彼等がボクに彫らせるのだ」そうだ。採掘する労働者に危険は付き物、例によって貧しい階層の人々が従事してきた。そんな彼等の英気を養ったのが豚の背脂。全てを活用する豚だが、中でも背脂は骨の次に安い“貧乏人の素材”。この背脂の保存食が名物“ラルド・ディ・コロンナータ”。でも「なんだ背脂か」と思ったら大間違い!焼きたてのトーストに薄切りにしたラルドを乗せ、余熱で溶かして食べてみなって!充分熟成しているから温めただけで透明になる。芳しくマイルドで実に美味いんだこれが。これでも立派なサルーミ(生ハムの仲間)なんだぜ。
よくラルドとラードを混同している人がいるがこれは誤り。確かに英語LARDラードの語源は伊語LARDOラルドなのだろうが、イタリア語でラードはストゥルットといい、ラルドとは全く別々のものとして区別している。まぁ小学館伊和中辞典が間違っているくらいだから、しょうがないっちゃぁしょうがないけど。
ラルドの仕込みは、まず背脂を厚み3~8cm程度の長方形に整え、表面に黒コショウ、ローズマリー、海塩、粗く刻んだニンニク、シナモン、コリアンダー、ナツメグ、丁子、八角アニス、オレガノ、セージなどの香辛料をたっぷりとすり込み、名産のマルモで出来た特別なコンカ(槽)にキッチリと並べ、専用のセラーで最低10ヵ月程度熟成させる。 昔はマルモを採掘した洞穴で熟成させ、自然の湿気と大理石の多孔性がラルドの熟成に理想的な条件を作ったらしい。

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(↑コロンナータのチェントロ。ラルドを“ウリ”にするオステリーアばかり)
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訪ねたのはラルデリーア・イル・ポッジョ・ディ・コロンナータ・ディ・レナータ・リッチ(レナータ・リッチの、“コロンナータの丘ラルド工房”)。代々この地でラルデリーアを営んできた老舗工房だ。小さな小さなチェントロの端っこに売店があり、レナータはここで観光客にラルドを直売している。そこから10分程てくてく歩いて観光客が全く来ない町外れに工房があり、2人のオヤジが仕込みに勤しんでいる。見てのとおり棺桶のようなマルモのコンカ(槽)が隙間なく並べられ、フタの上には仕込んだ日付がされている。熟成庫は芳しいラルドの香辛料が香っており、フタを開けると中にはびっしりと詰め込まれたラルドが並んでいる。
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しかしそれにしてもこのオヤジ(レナータのダンナ)が喋りだしたら止らない性質で、
オヤジ)「今ラルド・ディ・コロンナータは有名になり、イタリア全土の料理店でメニューに並んでいるが、そのほとんどは偽物だ!だってオレ達そんな大量に仕込んでないもの!あるわけないんだよ、そんなに沢山!」
「しかもオレ達がこんなに安く出荷しているのに、販売するやつらは法外な値段で捌いてやがる!」
「それにすぐ真似するヤツラがでてくる。」
オレ)「中国にはニセディズニーランドがあるらしく、今大騒ぎになっている(笑)」
オヤジ)ニヤッと(笑)って、「知ってるか?プラート(フィレンツェ近郊にある革製品の町)なんか今じゃニセ製品を作る中国人だらけだ」
オレ)「売る側のモラルが間違っている。売り捌き儲ける事が優先されている。例えば日本に輸入販売されているフィノッキオーナ(トスカーナ名物のサラミ)は、メーカーがパルマの会社だったりするんだ」
オヤジ、ガッハッハと笑いながら)「それだよ!」

こんな会話を延々と立ったまま2時間位してた(笑)。さすがに疲れた。しかしよく喋るよく喋る!仕事中にお邪魔しちゃったけど、よかったのかねぇ?まぁ仕込みも無さそうな感じだったけど・・・(笑)。
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(レナータのダンナ、情熱のオヤジ マリオ↑右)
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これが本物のラルド・ディ・コロンナータ。どんなに小さなカットでも、1個1個協会が発行する“Lardo di Colonnata IGP(地理的保護呼称)”の赤いタグを取り付け真空パックして出荷される。お値段はEuro15/1kg位。
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by cocogoloso | 2007-07-13 15:28 | イタリア郷土料理探訪記