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by cocogoloso

“ソムリエ”千田とブラインド

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先日の晩は、日本ソムリエ協会の試験に晴れて合格した千田のヤツ(しかも普通ワインスクールに入学して受験のツボを教えてもらうところなのに、千田の完全な独学合格は簡単なことではない)と、差しでブラインド・テイスティング。

1本目は北イタリアはヴェネト州の有名な白ワイン、ソアーヴェ・クラッシコ・スーペリオーレ。生産者はピエロパンで「ラ・ロッカ」という最上の単一畑から産する葡萄で作られている04年。ソアーヴェと言う銘柄のワインはピンからキリまで多数あるのだが、その昔外貨獲得のため、安くて水っぽいガブ飲みタイプのソアーヴェが大量に輸出され、本当に良質なソアーヴェ・クラッシコ・スーペリオーレ共々安酒=粗悪のレッテルを貼られてしまったという、優良生産者達にとっては苦い経験があった。真剣に作られたソアーヴェはイタリアを代表する白ワインの一つで、ブルゴーニュのトップキュベに優るとも劣らない品質のワインであるにも係わらずだ。

熟成は小樽を上品に使い、濃縮感のある葡萄に変化を与えバランスが良い。色は薄緑を帯びた輝く黄金色。香りは熟した南国フルーツ、パイナップルやマンゴーなど甘くコクのある風合い。糖度が高く、繊細でキレのある酸味とうまいバランスをとる。舌にまとわり付く滑らかな濃度、残香も長く心地良い余韻が口中に続く。ハッキリ言ってかなり上質の美味しいビアンコ(白)だ。しかしブラインドでは難しいだろう。この南国風のコクと相反するような上品さ、バランスの良い酸味が。わかるかな~?千田よ。と聞いてみるとやっぱし南イタリアのカンパーニャ(ナポリのある州)産の何れかと推測してきた。確かにグレコ・ディ・トゥフォDOCG(カンパーニャ最良の白)のような風合いはあるが、こんなに良質なグレコがあっただろうか?プロなら疑問を感じるべきだろう。或いはシチリアになら有り得るが、シチリではこんなに軽快なエレガントさが無いだろう。それにしても美味いワインだ。素晴らしいかな、レオニルド・ピエロパン。

2本目はカンティーナ・テッレ・デル・バローロというピエモンテ州バローロにある協同組合が産するトップ銘柄、「バローロ・ロッケ98年」。おそらくバローロはイタリア上級ワインの代名詞的存在のせいか、半可通はイタリア料理店で「バローロ!」と気軽に言ってくれる。けどバローロといっても銘柄多数で、程々に安いモノから超高級銘柄だって相当な数に上り、それらが一体いくらするのかご存じなのか?とお伺いしたいものだ。それにうちで8千円台のバローロが、他店では1万円超で売られている事実をご存じなのでしょうか?と聞いてみたい。答えはNO!知る由もないことは先刻承知なのだが・・・(「この店には1万円以上するワインなんてないよ(爆)」とか、「8千円もするワインを注文してやったんだからな!」なんてエラぶられるとガッカリする。安く出してるだけだっちゅーの。それに1万円以上のワインだってたくさんあるゾ!あんたのサブそうな懐心配してるのに)。さらにバローロやバルバレスコなど、ネッビオーロという葡萄で作ったピエモンテのワインは飲み手を選ぶワインなので、単にブランド性だけで無闇にお勧め出来ないのだ。何を選ぶかといえば、①キレのあるワインの酸味が好きで、②濃いワインより澄んだワインを好み、③タンニン(渋味)も好きで、④ワインを香りで楽しみたい人。ということになり、一般に人気のある流行の赤ワインの好みとは、殆ど逆のタイプとなってしまうのだ。

千田はさすがに半分正解。ただしバローロに数歩及ばない系列の銘柄、ネッビオーロ・ダルバを推測してきた。バローロは長命なワインなので9年の熟成でも意外と若く感じられることもあり、「まだそれほどではない」と判断して、通常若飲みする事が多いネッビオーロ・ダルバと考えたようだ。ま、悪くない推測だが、ネッビオーロ・ダルバには無い芳醇さを感じ取るべきだったろう。 どちらか迷ったらしく、口惜しそうだった顔が面白い“ソムリエ”千田だった(笑)。


ゴローゾホームページとイタリア郷土料理探訪記
by cocogoloso | 2006-12-26 18:15 | ココ・ゴローゾ